更新随時!玉井満代ブログ

子のイラストバックナンバー

2018.4.27

子どもの成長を引き出す本選び、
読書って!?

おたくのお子さんは、本を読むのが好きですか? 幼児期にはまだ自分で本を読んで楽しむまでには至っていませんから、親に読み聞かせてもらって本に親しむようになるのが一般的です。やがて絵本などは自分で読みながら楽しむようになり、就学年齢になって文字を読むのが達者になると自発的に読書をするようになります。このころの子どもはほんとうに本が大好きです。

 読書には様々な効能がありますが、お子さんにとっては掛け値なしに楽しい活動ですから、エンターテインメントとしても実益を得る行為としても非常に価値の高いものだと言えるでしょう。まずは、子どもの読書に関する調査資料をちょっとご紹介してみましょう。この調査は、平成23年10月に、「香川県教育委員会」によって行われたものです。

親子のイラスト

本を読むことが好きな子どもの割合(読み聞かせ含む)


 幼児
(3~5歳)
 小学生
(1~3年生)
 小学生
(4~6年生)
中学生 高校生
好き 65 48 47 37 45
どちらかといえば好き 32 40 38 42 34
97 88 85 79 79

幼児、小学校1~3年生に関しては、親が回答者となっています。調査対象者数ですが、各年齢層とも、500名弱~700名前後でした。いずれの年齢層も「本が好きである」という回答が多いものの、年齢が上がるほど少しずつ少なくなっています。次に、読書の頻度についての調査結果も見てみましょう。調査対象者は上記と同じです。

家庭での読書頻度


 幼児
(3~5歳)
 小学生
(1~3年生)
 小学生
(4~6年生)
中学生 高校生
ほぼ毎日読んでいる 27 24 22 13
週に3回以上読んでいる 27 26 30 14 11
週に1回ぐらい読んでいる 32 32 22 18 14
86 84 74 45 34

こちらの調査では、子どもの年齢が上がるほど読書をする機会が減少していることがわかりますね。先ほどの調査では、中学・高校生も読書が好きであるという傾向が確認されましたが、読書の頻度は減っていることがわかりました。交友関係や部活、勉強面など、活動が年齢とともに多岐にわたるようになり、読書に割ける時間が少なくなることが原因でしょうか。なお、小学生までの子どもが本を手に入れる方法ですが、調査によると大半は学校の図書室や地域の図書館で借りているということがわかりました。年齢が上がるにつれ、本屋で購入する割合が高くなっています。

 さて、ここからが今回の本題です。なかには、子どもの読書がなかなか定着しないご家庭もあるでしょう。理由として、どんなことが考えられるでしょうか。「本を読むのが苦痛・面倒」というお子さんもいます。これは、黙読への移行がうまく進んでいないことによるものだと思われます。こういうお子さんについては、以前「音読から巻き返しを」というご提案をしたことがあります。詳しくは、その記事をお読みください。

 また、読みたい本が見つからない(わからない)ケースもあるでしょう。こういうお子さんの場合、まずは読書の楽しさを体験させることが先決であろうと思います。しかしながら、それを意外と難しいと感じる保護者もおられるようです。その理由ですが、本選びをする際に、親はどちらかというと評価の定まった本、親から見て好ましい内容の本を読ませたいと思い、子どもに向けることが多いようです。それを子どもが受け入れてくれればよいのですが、子どものニーズや現実にマッチしていないため、うまくいかないケースが少なくありません。

たとえば、あるお子さんは、「うちのおかあさんは、小さい字がいっぱい詰まった絵の少ない本ばかり読ませようとする」と、不満げに話していました。いっぽう、あるおかあさんは、「うちの子は、いつまでも幼稚な本や挿し絵の多い本ばかり読みたがって困ります。そんな本、いつまでも読んでも読解力は身につきませんよね」とおっしゃっていました。子どもの見解と親の見解が見事に対立しています。

親子のイラスト

さて、どうしたものでしょう。読書心理学を専門とする東京大学の先生の書かれた本に、参考になる記述がありましたのでご紹介してみましょう。

子どもにとっては読むのがやさしい本は卒業というのではなく、一見やさしい本だからこそ、理解するのに精一杯という状況ではなく、深く味わって意味を考えることができます。また読みの苦手な子どもにとっては、読みやすい本を読み通す経験を積むことは、本を読む楽しさを知り、また自分で読めるという有能感を育てることにもなります。

一般に「~歳向け、~年生向け」という時には、本に使用されている漢字とルビのふり方や文の長さ、当該学年の子どもの生活経験や知識という観点から、対象読者年齢がめやすとして記載されています。しかし、読書に関しては、同じ学年でも、それまでの読書経験や好みによって、その子にはどのような本が最適かはかなり異なっています。読書経験を多く積んでいる子どもであれば、多少難解な本もきっとおもしろくなるはずという期待をもって読み通すことができますが、読書経験の少ない子では、こうした期待をもつことは難しいといえます。したがって、年齢は一つの目安にはなっても、その子どもの興味に適した本、読みたいと思った本こそが、その子にとって意味のあるよい本であるといえます。

ここでみなさんに注目していただきたいのは、「一見やさしい本だからこそ、深く味わって意味を考えることができる」という記述です。難しい内容の本ではこうは行きません。親から見て易しすぎるからといって別の本を探す必要はないのです。子どもは十分にその本を堪能したら、自然と別の本に手を伸ばします。それを繰り返すことで、子どもは読み手としてのレベルを着実に上げていくのですね。

 また、自分で読んで理解できる内容の本を読むのでなければ楽しくありません。自分で理解できるレベルの本を読み通してこそ楽しいと感じるのです。それでなければ子どもは本の描く世界に入っていくことはできませんし、主人公と一体化して追体験をするなどということは不可能です。そういう体験こそが読書の楽しさであり醍醐味ですから、背伸びをした読書よりも何倍も子どもの心の成長にも寄与するものです。

 さらには、一冊の本を最後まで読み通せたということは、子どもにとっては大きな自信になります。また、それがつぎの読書活動への意欲につながるのです。これも、易しい本を読むことによってもたらされる恩恵の一つなんですね。

以上から、「その子の興味に適した本、読みたいと思った本こそが、その子にとって意味のあるよい本である」という結論が導き出せるでしょう。みなさん、納得されたでしょうか。「うちの子は、読み応えのある本がいまだに読めない」と嘆く必要はありません。それよりもどんな本でもよいから読んで楽しむ体験を積み重ねることを大切にしてあげてください。

さあ、休日はお子さんと一緒に図書館へ出かけ、本探しの楽しい時間を過ごしませんか?

H.S