更新随時!玉井満代ブログ

子のイラストバックナンバー

2018.5.11

父親の子育てタイプと
子どもの社会性の育ち

子育ては親の大切な仕事の一つです。かつて日本では「子育てやしつけは母親の仕事」とみなされていましたが、近年は「イクメン」という言葉もあるように、おとうさんも積極的に関わるのが当然という見かたが一般的になりつつあります。

 父親と子どものコミュニケーションについて、ある大手の教育関連団体がアンケート調査を行ったことがあります。アンケートの対象は子どもで、父親との関係をいくつかの質問によって調査し、その結果を分析したところ、「父親のタイプと、子どもの社会性の育ち」に一定の関連性が見出されたそうです(質問の内容は割愛させていただきます)。

上記調査では、おとうさんの人物的な特徴は
次の4つにカテゴライズされています。



 さて、この4つのうち、子どもとのコミュニケーションが良好で、社会性の育ちにプラスの結果をもたらすのは、どのタイプのおとうさんでしょうか。まずは、みなさんで最も良好と思うものから順番をつけてみてください。そして、もしもおとうさんがこのブログを読みでしたら、ご自身がどのタイプに近いかも併せてチェックしてみてください。

 それでは、どのタイプが子どもの社会性の育ちに有効かを検討してみましょう。まず3のタイプですが、仕事第一のおとうさんは、子どもとの接触時間が確保できません。また、4のような専制君主型のおとうさんは、コミュニケーションが一方通行であり、子どもとのやり取りがありません。この二つにあえて順位をつけるとしたら、子育てをおかあさんに任せているのと、おとうさんから一方的な命令が下されるのと、どちらが社会性の発達に悪影響を及ぼすかを考えると、ある程度結論が出るでしょう。前者はお母さんのカバーである程度補えますが、後者のように父親から異論や反論を許さない強圧型のしつけを受けると、相手を説得したり、互いの一致点を見出すための話し合いをしたりするのが苦手な人間に育つ恐れがあります。こちらのほうが気になりますね。

 これでほぼ順位がおわかりいただけたと思いますが、子どもの社会性を育てるおとうさん像としての好ましさは、1→2→3→4の順となっています。

 今回の記事は、ある教育学者の著書で紹介されていた子育てに関するアンケート調査の結果をもとに書いています。その教育学者は、家父長的な(4のタイプ)おとうさんが子どもの社会性の育ちにおいていちばん低い評価となった理由について、次のように述べておられます。

かつて、そうした恐怖主義的な父親でも、子どもがそれなりに健全に育っていったことはあったとは思う。それは、ひとつには、法的にも父に権力が与えられていたという法的バックアップがあったからであり、もうひとつは、父親以外に多様な大人・子ども関係、あるいは子ども・子ども関係を築き得たからであった。社会性が育つきっかけがもっとたくさんあったのである。

 

 しかし、現代社会では、育児は地域の営みというよりは各家庭の個別的な営みと化しているし、実際には父親があまりに育児に参加せず、女性が専一的に担っていて、育児は明確に女性化している。また、父親の権力に法的なバックアップがあるわけでもない。社会の変化が速くて先が見えにくく、子どもには父親がモデルにならない。そうした社会的・文化的な文脈の変化があるため、恐怖主義的な対応を父親がとっても、子どもは父親を尊敬しないし、本当の権威も育たない。(後略)

 絶対的な権威に支えられた父親像が崩壊した今日、1のように子どもと積極的にコンタクトをとるようなおとうさんのほうが、親子関係が良好で、子どもの社会性も育ちやすいということのようです。

 かつては、絶対君主的にふるまうおとうさんのもとでも子どもの社会性は育ったと言われます。それは、子どもが地域社会のなかで育てられるという一面があったからだと指摘されています。私の幼いころは、近所にどのようなおじさんおばさん、おじいさんおばあさんがいるかをよく掌握していましたし、またそのような人との交流が頻繁にありました、近所の幼なじみ集団での遊びも毎日のようにありました。そういった生活のなかで親子関係とは別の形で子どもの社会性は育っていたのでしょう。

 こうした地域社会のバックアップがなくなった今日、子育ては夫婦共同で行われるべきものになっています。そのせいでしょうか。私が勤務していた学習塾の催しでは、近年おとうさんの参加、夫婦での参加が目立つようになりました。子どもの教育をおかあさん一人に委ねるのではなく、おとうさんも積極的に加わる、あるいは夫婦共同でという時代になっていることを裏付けているように思います。

 無論、シングルマザー(シングルファーザー)の多い今日ですから、子どもの社会性を育てるためのアプローチはより多岐にわたっていることでしょう。学習塾の催しに、おじいさんやおばあさんが参加されているのを見かけますが、おとうさんおかあさんだけではフォローできない場合は、そういう方法もあってよいと思います。

 近年、「グローバル教育」という標語を掲げている学校が増えています。みなさんも頻繁に耳にされているのではないかと思います。特に公立・私立を問わず、進学校とみなされている学校においては、帰国子女の受け入れ、海外の学校への留学などに熱心であり、グローバル社会に適応し活躍できる人間の育成という観点に立った教育が地域を問わず熱心に行われています。

 グローバル教育というと、語学教育、主として英語の習得に目が向けられがちですが、社会性やコミュニケーション能力は、グローバル社会に対応していくために欠かせないものです。そして、これらがどのように身につくかは家庭環境や子育てと無関係ではありません。子どもが将来社会に参入するにあたって、他者との関わりがスムーズに行える人間に育てておくことがまずもって肝要だと思います。父親の日ごろの行動様式は子どもに対する生きた手本になりますし、家庭での子どもへの対応のしかたやしつけしだいで子どもの成長の方向性も随分違ってくるものです。

 今回の記事が、子育ての現状についておとうさんに振り返っていただくきっかけになれば幸いです。  

H.S