子のイラストバックナンバー

2018.11.02

わが子を
学びに前向きな人間にするために
その2


 前回は、お子さんが小学校低~中学年のうちに、ぜひ保護者に心がけていただきたいことについてお伝えしました。それは、勉強に対する“快”の感情、プラスのイメージをもった子どもに育てるということでした。

 勉強とは楽しいもの、自分にとって必要なものという観念は、生涯の学びの姿勢を決定づけます。たとえば、勉強をよい成績をあげるためにするもの、受験合格のためにするものという観点から、子どものがんばりを求める保護者のもとでは、子どもは勉強を何かを達成するための手段として受け止める傾向が強くなりがちです。いっぽう、勉強を新たな発見の機会を与えてくれるもの、謎を解き明かすことの楽しみを味わわせてくれるものといった受け止めかたをするよう保護者が働きかけたなら、「学びを通して得られる喜び」のもつ大きな価値について教えることになるでしょう。これこそが、勉強の本来の目的なのです。勉強とは、本来何かを達成するための手段などではないのですね。

  学ぶことに“快”の感情をもつことは、脳の健全な発達にとっても重要なことだと言われています。そこで今回は、脳科学の専門家の著書の一部をご紹介しながらそのことを確認してみようと思います。

 東京大学大学院薬学系研究科准教授の池谷裕二先生は、海馬の研究家として知られる存在です。この先生の著書に、学びによい感情を伴わせることの重要性について触れられた箇所がありました。右下の図をご覧ください。

 この図は大脳辺縁系という最も古い脳部位にある海馬と偏桃体の断面を切り取った様子を描写したものです。

 ご存知かと思いますが、海馬は体験や学習によって脳内に入力された新規の情報が必要か不要かを判断し、必要と判断した情報を長期記憶に加工する仕事をしています。それに隣接する偏桃体は“快”“不快”(好き嫌い)の感情を扱っています。
 両者は近接した場所にありますが、実際のところかなり密に情報のやり取りをしており、学習体験がよい感情を提供してくれたなら、海馬はその体験で得た情報を長期記憶に加工しようとします。つまり、「好きなことならよく覚えている」とか、「興味をもって取り組んだことは、楽しいと感じるし、記憶にもよく残るのです。「好きこそものの上手なれ」という諺がありますが、上記の内容は考えてみれば当たり前のように思えてきますね。

 このことは、「勉強を楽しいと思って取り組むほうが、テスト対策のためという受動的な理由で勉強するよりも成果があがる」ということを意味するでしょう。逆に、大人からの命令や圧力で勉強すると、子どもに無用のストレスがかかり、成果があがらないだけでなく、心身の健全な発達にとってマイナスに作用することもあるでしょう。

 今回の話題に基づく私の見解をまとめてみましょう。興味をもち、好きになり、やり遂げたときの喜びを享受する。この一連の学びのプロセスと連動して、海馬の記憶機能が活性化し、「この情報は大切だから覚えておこう」と指令を発します。こういう流れをうまく築けば、子どもの知的能力の開発は全く違ってくることがわかりました。大人が我慢しきれず、無理やり手を下して子どもに勉強させると、こういった脳の働きの連携や好循環は生じません。目先のテスト成績と引き換えに、生涯にわたる莫大な伸びしろの芽を摘み取ってしまいます。せめて、玉井式の教室にご縁をいただいたご家庭においては、こういうことがないようにしたいものだとつくづく思ったしだいです。

 もちろん、勉強という行為は丸ごと楽しいわけではありませんし、「好きでたまらない」などという子どもはいません。興味をもち始めてから、解決したり発見したりする喜びを味わうまでには、苦痛や辛抱が伴うものです。これらを乗り越えることによって得られるもののすばらしさを知っているか否かで、「勉強って楽しい!」と笑顔で語れる子どもになれるかどうかが決まるのです。

 玉井式の講座には、子どもたちにそういった体験を提供できるコンテンツがふんだんにあります。そして、子どもの真の成長を応援する指導担当者がいます。力を合わせて、社会に貢献できる頭脳の持ち主をたくさん世に送り出したいものですね。

H.S