子のイラストバックナンバー

2018.12.14

児童期前半までの
算数学習と玉井式


 ご存知のように、学力というものは一朝一夕に伸ばせるものではなく、相当に長い期間の修練の積み重ねを必要とします。特に算数は、低学年時までに養った基礎や感覚的素養が大きな作用を果たす教科です。今回は、このことについて少し掘り下げてお伝えしてみようと思います。

 算数は、中学受験の学習で子どもたちが最も多くの時間とエネルギーを投入する科目です。それは入試において中心的な役割を担っており、配点の比重が高く設定されていることによりますが、それだけではありません。問題の解決へ収束していくプロセスに格別な面白さがあり、算数・数学への取り組みを通じて、子どもたちは自らの能力に自信をもつことができる点も大きな理由でしょう。

 それゆえ、小学校課程のみならず、中学進学後も教科の中心的存在であり、大学受験においても国立大学や理系学部を受ける際に必須とされる教科となっており、数学に堪能かどうかは就職にも少なからぬ影響を及ぼします。特に理系の職業を視野に入れている子どもの場合、数学力を備えているかどうかは問答無用といってよいほど圧倒的な重要性をもっています。

 こうした事情を受け、保護者もわが子の算数の学力や評価点を、入試での可能性のバロメーターや将来の見通しの尺度として受け止めがちです。そして、「何とかして算数のできる子になって欲しい」と願っておられるのだと思います。

 では、算数・数学力の飛躍に向けた可能性はいつ頃明確になっていくのでしょうか。それは、だいたい9歳前後だと言われています(学年で言えば、小3~小4頃)。と言うのは、児童期の算数で最も難しいとされる学習領域は、1に割合、2に分数、3に小数です。具体的には、以下のような単元をうまく乗り越えられるかどうかが算数学力の形成でポイントになります。

算数の一つ目のハードル…2年のたし算のくり上がりとひき算のくり下がり
二つ目のハードル…3・4年の整数のわり算、分数・小数
最後のハードル…5・6年の比例・割合

 上記の三つの単元が、子どもたちの算数学力の伸長にとって大きなハードルになるのは、算数の学習内容が抽象性を帯びてくることと大いに関連があります。

 算数・数学が難しいと思われがちなのは、その抽象性にあります。たとえば分数で全体を1としたり、割合で全体を1とみたりするのは、まさに抽象に他なりません。発達心理学においてよく言われるように、具体的思考から抽象的思考が育っていくのが小学4年生前後の年齢です。思考と言語は密接なつながりをもっていますから、ボディ・ランゲージ(非言語的言語)から大人のフォーマルな言語に切り換わるときと重なっているのは言うまでもありません。

 したがって、算数力が身につくかどうかも、このような言語の質的転換に成功するかどうかによる、と言われています。このことから考えると、国語的観点からも、算数的観点からも、3~4年生という時期までの思考の発達が学力形成の分岐点だと言えるのではないでしょうか。

 特に算数は、子どもの有能感を大きく左右します。その理由と深く関わるのですが、「算数・数学は、考える喜びを得ることができるから、考えかたを学ぶのに最適な科目」ということです。1本の補助線を考えついたことですっと課題が解けた喜び、ちょっとした工夫で複雑な計算が簡単にできた喜び、数学なら、いまだに証明されていない定理もあります。こんな経験は他教科では味わえません。

 以上のことから、「算数のできる子=考える喜びを知っている子」だとおわかりいただけるでしょう。では、このような子どもはどうやって育つのでしょうか。それには、本格的な受験勉強を始める前の年齢期(4年生まで)に、考える喜びを味わう体験をたくさんしておくことです。以下は、算数学力を支える主要な要素を示したものです(以前、私の勤務していた学習塾の算数担当者による)。

 受験の算数というと、大概の人は上の二つの要素を思い浮かべるでしょう。しかし、小学校の低学年頃までは、通常の意味での「教える」ということは、ほとんど役立たないと言われています。算数的な実場面にふれ、そのもつ意味を肌で感じとったり、自分で得心したりする経験こそ意味をもつのです。

 私が玉井式の「国語的算数教室」と出合い、低学年児童の学力形成に生かしていく過程で一番に感じたのは、楽しいアニメーションで登場してくるさまざまな場面が、仮想現実として子どもたちに提示され、極めて実場面に近い形で問題解決に向けた思考を促してくれることの効果です。このような学習こそ、上表の「算数の学力」として挙げられている三つ目と四つ目の要素の獲得に有効だと思ったのです。また、この講座はその名のごとく、子どもの読解力や思考力の育成にも貢献しています。そのことも大きな魅力です。

 低学年期から学校で未習の公式を意味もわからずに覚えさせたり、方法のみをたたき込んだりしても、真の算数力は身につきません。それよりも、上表の「関心・態度」を伸ばすことがまずもって大切なのです。それがうまくいけば、残りの3つの要素は自然に備わってきます。小学校低~中学年までの子どもにとって、算数学習に関わる自由な思考、自主的な学習態度を育む体験を繰り返すことこそ重要なのです。

 「玉井式国語的算数教室」で、楽しい数の世界の住人になる。そこから、実は素晴らしい算数・数学力の花を咲かせるための芽が育っていきます。このこと一つとっても、この講座の携えた大きな魅力に刮目せざるを得ませんね。

 ※実際に、私の勤務していた学習塾では、「国語的算数教室」出身のお子さんが大いに算数学力を伸ばし、中学受験でも次々に難関を突破しています。また機会があったら、そのこともご紹介してみようと思います。

H.S